
廃液入れ。
培養細胞の培地や、実験で使った大腸菌の残りカスはこの廃液瓶に捨てます。
◆
昨日、大腸菌を培養しました。
でっかいフラスコに入れて、わっしわっしと一晩揺するのですが、欲しい遺伝子を「入れた」大腸菌をいきなりでっかいフラスコにいれてしまうと、うまく増えないことがあるらしい。
というわけで、最初に試験管でちょっとだけ培養して増やしてから、それをフラスコに入れて培養する、というのがいつもの流れでございます。
ところで、試験管の中には5ミリリットルの『大腸菌がたくさん入った培地』が入っていました。
指導教官曰く、
「(試験管の中の)大腸菌液、1ミリだけフラスコに入れたらいいよ。フラスコに入れすぎてもよくないし」
というわけで、1ミリリットルはフラスコに入れて本培養、残り4ミリリットルは…そうです。イラナイので廃棄です。
とりあえず、廃棄方法を確認する私。
鴫野「じゃあ、残った4ミリは…」
教官「ハイターで殺してね」(ハイター…巷に溢れるあの漂白剤です)
鴫野「あ、ハイターにしますか。廃液瓶に捨てようかと思ったんですが」
教官「そうだね、廃液瓶は後でオートクレーブ(高温滅菌)かけるから、じゃあ廃液瓶に捨てて」
という流れで、廃液入れに捨てることになりました。
今すぐハイターで殺菌されるわけではなく、オートクレーブをかけられるまでしばしの猶予の与えられた大腸菌たちに、鴫野は語りかけてやりました。
「まあ、瓶にオートクレーブがかけられるまでの間、その収容所ん中でせいぜい生きるんだよ」
すると、教官はきちんとそれを聞いていまして、
「まあ、その瓶の中にはストレプトマイシンなんかの抗生物質入りの培地も入ってるから、そう長くは生きられないだろうけどねwww」
そうか。
そういや、鴫野が可愛がっている副腎の細胞・PC12の培地にも抗生物質は入れていたっけ。
金魚の水槽の水を変えるのと同じで、細胞の培地もちゃんと交換しなければいけません。
つまり、抗生物質がたんまり入った培地を、この廃液瓶にドバドバ捨てているわけで…
鴫野「じゃあ瓶に入った瞬間に大腸菌たちはサヨウナラですね」
教官「いや、でもその瓶の中には栄養満点のおいしい培地も入ってるからねえ…」
鴫野「…ということは、死ぬ前に美味しいモンを腹いっぱい食べてからサヨウナラ、ですか」
教官「ま、どっちにせよ居心地はよくないだろうけどwww」
とりあえず、廃液入れに捨てられた大腸菌たちはそう長くは生きられないわけですね教官。
でも、でっかいフラスコに入った運のいい大腸菌たちも、1晩培養された後は、DNAを取るためにぐずぐずに溶かされてしまうという無残な目にあうわけですよ。
いずれにせよ、待っている運命に変わりはない、と。
そして今日、1晩美味しい培地の中で増殖していた大腸菌たちは、見事なDNAを残して旅立っていきました。ありがとう。さようなら。
廃液瓶送りになったものと、フラスコ送りになったもの、そのどちらかが天国でどちらかが地獄、というわけではなく――
『どちらも地獄というわけか』(By財前五郎@白い巨塔平成版)
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