山本文緒の『プラナリア』という本を読んでいます。
短編集なのですが、表題の『プラナリア』という小説を読みながら、ああ、わかるわかる…と思いました。
この本を買った当時、私は大学院に通っていまして。
買ってみようと思ったのは、センター試験対策の問題集で、『プラナリア』という話を見たからなんですね。現代文の文章だったのですよ。
大学院からの帰り、立ち寄った中古書店で見つけて買ったのですが、そのときに読んだ感想は「いらいらする主人公だなあ」という感じでした。
主人公は乳がんの手術後、がんは治ったのだけれど仕事はせずに、飲み会で周囲が盛り上がってきたら「私乳がんなの」と言って場をドン引きさせるような人なのです。
ある人が「無職なら私の店でバイトをしないか」と誘ってくれても、仕事中に携帯をいじったり、パートのおばちゃんと仲良くできなかったり。それで最後は「私乳がんだから」と切り札を出すのです。
誘ってくれた店長さんが、乳がんだということを知って気を使うと、なんだかそれがすごく煩わしくなって、無断欠勤した挙句に「私辞めます」と電話で言う、という話でした。
…ざっくりしたあらすじを書くと、鴫野はこの話が嫌いなのかと思われんばかりの書き方になってしまうのですが。
うん、昔は好きではなかった。
でも大学院を休学して、2年というタイムリミットの中で学士編入試験に臨んで、もうすぐ休学の期限も切れるし、親には進路をどうするんだと迫られて、結局お前は就職したくないだけなんだろう的なことを言われて、焦ったり、バイトうまくいかなかったり、そういうもだもだした感じを経験してからこの話を読むとですね…
「ああ、わかるわかる…」
ってなるんですよね。
今でこそ症状は安定してますが、鬱がひどいときは自暴自棄にもなりましたし。
先日の市役所じゃありませんが、バイトでクビを切られたり、面接しても合格しなかったりしたら「どうせ私はビョーキ持ちなんだから幸せにはなれないよね」とか思ったり。
ぶらぶらしたくてぶらぶらしてるわけじゃなくて、本人なりにいろいろ考えて、でも前に進めないもどかしさ、というのに、すごく共感できる話でした。
休学してから自分の感じ方が変わったんですね。
それだけ鴫野という人間の奥行きも増した…らいいな。
学士編入が人生の正解だとはまったく思っていませんし、自分のステイタスだとも思っていません。ましてや他人にこんな茨の道を進める気にはなりません。
でも、試験を受けたり、進路で迷ったりしたことは、まあ、いい人生経験になったんじゃないかしら。
なんてことを、小説に対する感じ方が変わったところから、思う鴫野でありました。
下の記事に拍手ぱちぱちありがとうございます!
以下、拍手お返事です。
1/31分
1/31 よしていさま
ありがとうございます!無理のない範囲で、でも今後新しい土地でも働けるよう、経験値を積むつもりで、頑張ってまいりますね
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